January 8, 2011

Kamakura






















































































Short trip to Kamakura, Japan! ということで、行ってきました。予習ばっちりで、いざ鎌倉。

祖母の家がJR北鎌倉から車で10分の距離。毎年祖母の家には行っていたのに灯台下暗し。初鎌倉でした。

イメージしていたよりもこじんまりとした街で、数日でぱぱっと名所は巡れてしまいます。北には緑、南には海と空。寒波到来1月の湘南ビーチを江ノ電沿いに延々と歩いてきました。

鎌倉出身のある方との恋をだめにしたんです。傷心に任せて、この街で育ったあの人の面影に逢ってみたい!な〜んて思って夢中で鎌倉が舞台の映画を見て本を読んで漫画を漁っているうちに、旅行には充分な知識と土地鑑を習得してしまいました。いままでこんなに一つのテーマに絞って短期間で勉強したことあったかしら?なんというムダな集中力。動機は不純な方が動きやすいものですね。

鎌倉高校前駅横の坂道からお約束の江ノ電ショットも収めました。スラムダンクの踏切♪ 晴れてよかった。いや〜満喫しました。

January 7, 2011

Kamakura Prep

鎌倉旅行予習シリーズ!

spring18ticketの本棚
2011年01月~2011年12月
アイテム数:10
黄色い目の魚 (新潮文庫)
佐藤 多佳子
読了日:01月07日
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プレーンソング (中公文庫)
保坂 和志
読了日:01月07日
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ららのいた夏 (集英社文庫)
川上 健一
読了日:01月07日
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青の炎 (角川文庫)
貴志 祐介
読了日:01月07日
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君の名残を (上) (宝島社文庫 (487))
浅倉 卓弥
読了日:01月07日

君の名残を (下) (宝島社文庫 (488))
浅倉 卓弥
読了日:01月07日
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義経 (新潮文庫)
宮尾 登美子
読了日:01月07日
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炎環 (文春文庫 な 2-3)
永井 路子
読了日:01月07日
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霊鬼頼朝 (文春文庫)
高橋 直樹
読了日:01月07日
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実朝の首 (角川文庫)
葉室 麟
読了日:01月07日
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実朝の首 (葉室 麟)









★★☆☆☆
読みにくい。こんなに読みにくい本は始めてだ。文章は美しいけれど緻密すぎる!!脇役がわらわらでてきてその度にこと細かに脱線するからちっとも的が絞れなかった。著者の "銀漢の賦" は好評だったはずなのにな。

朝夷名三郎 (朝比奈三郎) だけは "霊鬼頼朝" の第四話で、実朝が反乱した和田一族の首を検分した際、首がなかったと書かれていたので、かろうじて覚えていました。"炎環" や "霊鬼頼朝" ではマイナーな人物に焦点を当てた作品を楽しみましたが、"実朝の首" までくるとモトとする自分の知識も浅いので難しく感じたのでしょうか。

実朝の首を持ち去った公暁も事件ののちすぐに打たれたのに肝心の首が見つからない。後継者問題でそれどころではない折に必死になって首を探す北条氏。一方、和田合戦では大暴れしたものの、実朝に忠義を貫こうと、供養する為に首を奪って逃走する 和田の残党。なんとも薄気味の悪い話です。

鎌倉は周囲を丘陵で囲まれているため、鎌倉への入り口として "七口" と呼ばれる7ヶ所の切通しが開かれたそう。どれも山中にあるのだろうから、極楽寺坂口、大仏坂口、化粧坂口、巨福呂坂口、朝比名口、名越坂口、亀ヶ谷口、の全部を見て回るのは難しいだろうな。

ところで、公暁が実朝暗殺の時身を隠した話の伝わる鶴岡八幡宮の大銀杏。2010年に強風でポッキリ!折れてしまったのですね。見たかったのに残念。鎌倉時代にすでに "大" 銀杏だったのならかなりの老木ということになります。現在は切り株の姿になってしまった大銀杏に、ちらほらと新芽が見られるそうです。

霊鬼頼朝 (高橋 直樹)









★★☆☆☆
坂東の武士を率いて鎌倉に幕府をひらいた源頼朝。彼の敵、身内、家人などから恐れられ、または慕われていた、様々な頼朝像で構成される短編集。霊鬼といっても頼朝が化けて出てくる話ではありません。

さて、その様々な頼朝像を提供してくれる主人公は四人。頼朝と大進局の子、貞暁。清盛の甥、平時忠。頼朝の異母弟、源義経。頼朝の次男で三代将軍、源実朝。

弟の範頼や義経を容赦なく抹殺し、権力を盤石にしたのもつかの間、頼朝以降の源氏の血統が次々と絶えていく様子はとにかくどろどろに暗い。平家の滅亡から奥州藤原と義経の最期。頼朝亡きあと二代将軍頼家の暗殺。三代将軍実朝の暗殺に続いて後継のゴタゴタ。著者の硬い文体で骨肉の争いを描いています。

第一話で実朝暗殺の一報が、嫡流の貞暁と禅暁 (頼家の子) に届きます。第四話は実朝が公暁に暗殺されて終わり、そこで第一話に繋がります。時系列で追うと、第二話→第三話→第四話→第一話、となっています。ちょっとごちゃごちゃですが、政子によって早々と出家させられ、密やかに生活していた2人に将軍職相続の白羽の矢がたつシーンがなんとも寒々しく印象的だったので、冒頭に持ってきたのは効果的だったと思います。

鎌倉の知っている地名が出てきたのは、貞暁が母親に連れられ極楽寺坂を越えていく寂しい件。頼朝つきの御使雑色が静御前の出産した男児を由比ケ浜に投げ込む件。和田義盛の乱で燃える大蔵御所。どれもこれも救いがないなかで、実朝が幼いころ頼朝に連れられて小坪の浜で父子水入らずで遊ぶシーンだけが妙にほのぼのと心に残りました。

炎環 (永井 路子)









★★★★★
炎環。ものすごく楽しみにしていました。直木賞受賞作。歴史の表舞台にはなかなか出てこない四人の視点から、全盛期の鎌倉幕府を記した短編集。

登場人物は 阿野全成。梶原景時。北条保子。北条義時。

"この四編はそれぞれ長編の一章でもなく、独立した短編でもありません" と著者があとがきでふれているように、ひとりひとりが主役のつもりで行動した結果として誰もが予想しなかった方向に歴史が流れていく様が描かれています。人間個々の存在の儚さや意志の虚しさを感じさせてくれる、壮大なスケールの作品でした。

"悪禅師" に出てくる義経が印象的でした。いかにも政治闘争に無頓着で人懐っこく、兄の寵を頼んで無邪気に張り切る小冠者。これが私の中ですっかり義経像として定着してしまったようです。でも主人公はあくまで全成。一ノ谷も壇ノ浦も、義経の活躍を内心苦々しく見ている鎌倉の頼朝と全成の描写に始終しています。

頼朝亡き後の全成の暗躍。しかしそれが実を結ばす、頼家にあっさり殺されてしまうまでを読めるのも、マイナーな人物に焦点をあてた "炎環" ならでは。幕府権力を安定させる為、政治的手腕を遺憾なく発揮して頼朝を支えた梶原景時。彼が任官を受けた義経を叱責する件も圧巻です。

頼家の子公暁が、保子が乳母として養育した実朝を殺す件は、全成亡き後の保子の視点で描かれています。そして嫡流の男児が軒並み殺されてしまったあとで北条義時の台頭。四つの物語が同じシーンを描きながらも重複せず、密接に関係しながらも少しずつずれている距離感は本当に見事です。

義経 (宮尾 登美子)









★★★☆☆
著者の "篤姫" と "菊籬" は読みました。

さて。ヒーロー義経が、女性をテーマにした著書の多い宮尾氏バージョンではどのような活躍を見せてくれるのでしょうか?と思った矢先、いきなり宮尾氏が語り部として登場するスタイルにびっくり。

著者の故郷高知では、節句に立てるのぼりをフラフというそうです。そこに描かれていた武者絵は圧倒的に義経を描いた柄が多かった、という挿話から始まり、宮尾氏が史実に沿って淡々と義経の生涯を追っていきます。

こうだったのではないでしょうか?こうは考えられないでしょうか?と語りかけられる度に、バラバラの史実を紡ぎ合わせていくのは人間の想像力なんだな〜と感慨深く読みました。

旅行の予習として鎌倉が舞台の小説を片っ端から集めてみましたが、よく考えてみると義経の活躍の舞台はほとんど鎌倉ではないのですね。鎌倉では、鶴岡八幡宮の若宮上棟式で大工の馬を引かせられる件。平宗盛・清宗父子を生け捕り凱旋するものの、腰越で止められてしまう件。後は静御前が鶴岡八幡宮の廻廊で義経を想って舞った件。くらいでしょうか。

京都鞍馬山で修行。奥州平泉で青春。宇治川の先陣の話は木曾義仲を追って京都入りする時だし、平家を追い落としたのは神戸と山口でしたね。最近まで鵯越の逆落としは鎌倉の山中でのことだと思っていました。反省反省。

著者同時代の超大作 "宮尾本 平家物語" にも挑戦したいところです。

君の名残を (浅倉 卓弥)









★★★★☆
鎌倉旅行予習大作戦、歴史編。に集めた中で、これを一番最初に読んで本当によかった。

現代の高校生が動乱まっただ中の鎌倉時代にタイムスリ〜ップ!!!それぞれ歴史上重要な人物として大活躍!なんだかチープな設定だぞ、と思いましたが、おもしろいおもしろい。大まかな流れは押さえやすいし、主人公視点で見ているので、登場人物が皆とても魅力的に描かれています。

淡い恋心を抱いていた高校生2人はタイムスリップした鎌倉時代で敵同士になります。友恵は木曾義仲の傍で、武蔵は源義経の下で、慕う者を守る為に懸命に戦います。が、未来からやってきた2人には当然戦いの結末や、愛する者の死に様がわかっています。自分の意志で時の流れに立ち向かい、そのために動くことが、結局史実通りの歴史を作っていってしまう。

細かいことを気にすれば、だいたい巴御前は木曾義仲の正室ではないし、静御前も源義経の正室ではありません。鎌倉に人質として送られた義高は巴と義仲の嫡子でした。なんて、むりやりすぎますが、物語の構成上納得のいく調節だと思えます。大筋はもちろん変えない中でよくこれだけのストーリーに仕上げてくれたなと思います。


ただ。友恵の言葉遣いだけは許せない違和感がありました。高校生がタイムスリップしたのはいいとして、飛ばされた先で10年以上生活して、仮にも義高を産んで、大将義仲の隣で決死の戦を重ねているわけでしょう?

時の流れが強調されるわりにはいつまでたっても友恵は稚拙な現代口調。「いやっ!」「待って!」「でも!」を繰り返す彼女がどうしても鬱陶しかった。義仲に落ちるように諭されたときくらい「わたくしが殿の下を離るる時は、黄泉路へ旅立つ時ばかりに御座います。」のヒトコトもばしっと言ってほしかったな。

青の炎 (貴志 祐介)









★★★☆☆
134号線を愛車のロードレーサーで疾走する秀一。

青い空、白い波、潮の香り。

冒頭からいきなりさわやかなシーンが浮かびます。でも息を切らして自転車をとばす彼にとってはどんなに美しい景色も目に入っていない。読者の視線で描く風景と主人公目線で綴る心理描写の切り替えが巧みで、一気に惹き込まれてしまいました。

物語に出てくる江ノ電沿線の高校で、鎌倉高校と七里ケ浜高校は実在しますが、主人公の通う由比ケ浜高校は架空のもの。高校生が授業ヒトコマ抜けて由比ケ浜から鵠沼までを片道15分で往復走破するという、かなり無茶苦茶な殺人計画でした。

家族想いの母、素直な妹、一途なガールフレンド。対して一家を踏みにじる義理の父。ミステリーはトリックが命だから、そちらに頁を割く分どうしても登場人物の描写がステレオタイプに傾倒しがちで退屈だと思うんだけど、その物足りなさは表紙の二宮和也が埋めてくれました。彼は名優の誉れ高いですね。彼の写真一枚の演技のおかげで、すっかり感情移入してしまった!!

哀しい終わり方だけどなぜか後味の悪くないミステリーでした。

ららのいた夏 (川上 健一)









★★★☆☆
すがすがしい空気のなか逗子海岸を走ると江ノ島越しに朝日をあびて輝く富士山が見えるなんて素敵!

走ることが好きで好きでたまらない。ロードレースも駅伝もフルマラソンも笑顔でケロリと記録更新。少年ジャンプの主人公にこそふさわしい、この邪気のなさよ。こういう現実味のない強さを持つ平坦なキャラクターは漫画ならいいと思っていたけど文章にするとなぜか色褪せてみえる。

が、そんなことは関係ない。マラソンシーンの描写はなかなかスピード感があって、長距離大嫌いだったことも忘れて一気に読んでしまいました。スポ魂の暑苦しさはイッサイなし。

渚橋スタート → 伊勢山トンネル → 飯島トンネル → 材木座海岸 → 滑川交差点 → 由比ヶ浜 → 坂ノ下 → 稲村ヶ崎 → 七里ケ浜 → 鎌倉高校前 → 小動崎 → 腰越 → 江ノ島大橋でUターン。

江ノ島を臨んで右手に山。左手に海。海風が強くてつらそうだけど 134号線はサイクリングコースでも有名です。ららが難病だったという設定も、オチもチープだったけど充分楽しかった!

プレーンソング (保坂 和志)









★☆☆☆☆
つーまーらーなーかぁったぁぁぁ。

全く具体性のない背景にどうでもいい会話。これといって取り柄も魅力もない登場人物たち。

このぼんやりとした雰囲気のまま押し切られちゃうぞ。と思いつつも、鎌倉のでてくる件に一縷の望みを託して読み続けたけど案の定なぁんにもなかった。最後の方になってやぁぁっとなんとなく湘南の海に行こう!ってなって地名が出てくるだけでした。あ〜あ。

でも学生の頃だったなら... 3日徹夜して へろへろでプレゼンテーションして 泥のように眠って 起きたら起きをする。ぽっかり空いてしまったその午後に家に食べ物も何もなくてしかたなくだらだらとこの本を読んでみる、というのなら、それもまた一興。だったかな。

黄色い目の魚 (佐藤 多佳子)










★★★★☆
甘っあまの青春ラブストーリーだったらどうしようと思って読んだけど、予想していたより爽やかに流れてくれました。

これを乗り越えれば変われる!とか、こんなことも続かないのは自分のいい加減さの象徴だ。とか、やたら思いつめがちな青春時代の記。一貫して甘くも熱くもなりすぎず、あくまで文章が爽やか。

鎌倉が舞台と言ってもあまり背景に重点は置かれていません。湘南の海は青春モノにぴったりなはずなのに少し残念。

悟が自分の高校は進学校と言っていたので、湘南か?!と思ったけど、学校からは七里ケ浜より稲村、由比ヶ浜の方が近いということは男子高の鎌倉学園?でもその近くに北鎌倉女子学園もあるからまぁなんとなくどちらかということで。

"江ノ電が腰越を出て左にカーブを曲がったとたん、相模湾が車窓いっぱいに広がる。...右には江ノ島。左遠方に伸びる海岸線は逗子、葉山、俺んチのほうだ。"

...ってなんで悟はみのりに会いにに七里ケ浜へ行くのに江ノ電で西から来るんだ?吉祥寺のギャラリーにいたはずではなかったか?

通の借りたコテージは霊仙山の頂上付近にあるらしい。ここからなら長谷観音の喫茶店 "ハーフタイム" も近いから、悟は酔っぱらったみのりを抱えて電車に乗ったわけではなかったんだな。