January 7, 2011
青の炎 (貴志 祐介)
★★★☆☆
134号線を愛車のロードレーサーで疾走する秀一。
青い空、白い波、潮の香り。
冒頭からいきなりさわやかなシーンが浮かびます。でも息を切らして自転車をとばす彼にとってはどんなに美しい景色も目に入っていない。読者の視線で描く風景と主人公目線で綴る心理描写の切り替えが巧みで、一気に惹き込まれてしまいました。
物語に出てくる江ノ電沿線の高校で、鎌倉高校と七里ケ浜高校は実在しますが、主人公の通う由比ケ浜高校は架空のもの。高校生が授業ヒトコマ抜けて由比ケ浜から鵠沼までを片道15分で往復走破するという、かなり無茶苦茶な殺人計画でした。
家族想いの母、素直な妹、一途なガールフレンド。対して一家を踏みにじる義理の父。ミステリーはトリックが命だから、そちらに頁を割く分どうしても登場人物の描写がステレオタイプに傾倒しがちで退屈だと思うんだけど、その物足りなさは表紙の二宮和也が埋めてくれました。彼は名優の誉れ高いですね。彼の写真一枚の演技のおかげで、すっかり感情移入してしまった!!
哀しい終わり方だけどなぜか後味の悪くないミステリーでした。
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